2011年~2013年発売

『おかあさんの扉・1巻』(伊藤理佐)感想~42歳の妙齢おかあさん道~

投稿日:2013年11月1日 更新日:

伊藤理佐さんが描く育児4コマ漫画です。
独身の方でも楽しめると思いますが、特に生後6か月~2歳の娘さんがいる方にお勧めしたい作品。
オットの人・吉田戦車さんの『まんが親』と一緒に読むと更に面白いです。

amazon ★★★★(3.8)
楽天 ★★★★(4.27)

【内容紹介】

伊藤理佐、40歳で母になる!
産休明け第1弾は、日々成長する我が子の姿をライブ感覚で描く失笑、苦笑、爆笑の三重笑4コマ144連発。
雑誌『オレンジページ』の人気連載が一冊になりました。
オットの人・吉田戦車さんの書きおろしコラム「おとうさんの扉」5本つき。

【感想】

伊藤理佐さんは1969年生まれ。
代表作に『おいピータン!!』『ヒゲぴよ』『おるちゅばんエビちゅ』など。

slooProImg_20131029215649.jpg

38歳(2007年)のとき吉田戦車さんと再婚、40歳(2010年1月)で娘さんを出産しました。
1巻は、生後11か月の頃からスタートし、6~7か月頃(2010年夏)の様子が描かれ、1歳7か月くらいまでの様子が描かれます。

最初に読んだのは、私の娘が3か月くらいの頃でした(2013年の8月頃)。
くすくす笑って、元気をもらって、「●ヶ月後には娘もこんなになるのか…!」とイメージしました。

感想を書いている今は1歳5か月(2013年10月)。
1巻に描かれている娘・あーちゃんと同じくらいに成長しました。
slooProImg_20131029215651.jpg

漫画に描かれている出来事のほとんどは、日々のささいな出来事や娘さんの成長に関わることです。
子育てをしている人なら経験したであろう、ごくごく普通の体験。

多分、色々な家庭で起きている成長なのでしょうけれど、描き方が素敵です。笑わせるだけでなく、ちょっとほろりともさせる。
普通の体験を、独特のセンスで表現したりしているし、小さいこともよく拾っています。娘さんへの愛を感じます。

小さかった娘の手が、お母さんの背中をとんとんしてくれるようになる。
このエピソードが好きです。

うちも1歳を過ぎたらするとんとん、してくれるようになりました。
「ただのマネ」だと分かっているけれど、娘にとんとんしてもらう度に元気をもらえる気がする。

多分、娘が大人になった時に読み返したら、思い出して泣いてしまうのでしょう。

『おんなの窓3巻』の感想でも書きましたが、私は伊藤理佐さんのマンガは苦手意識が強くて読んでおりませんでした。
出産を機に夫・吉田戦車さんの『まんが親』を購入したら面白くて、妻・伊藤さんの『おかあさんの扉』を読んでみるかな…と思いました。

が。ネットの評判を調べてみると、酷評の嵐。
発売直後の2012年6~7月頃のamazonレビューは「伊藤理佐は出産したらおもしろくなくなった」「絵が雑」という意見が多かったのです。

元々好きではない作家の作品でもあり、買うかどうか悩んだのですが「女の子を育てる漫画が読みたい!」という思いが強く、思い切って購入したら、大当たりでした。
過去作をほとんど知らないのが逆に良かったのかもしれません。

新生児が「虫(妖精)」、1歳を過ぎると「人」…という感覚、わかるわー。
slooProImg_20131031221055.jpg

私が「伊藤理佐すごい!」と感じた漫画は「こわい話」。
独身の方が読んでも笑える話だと思います。娘さんの表情も大変かわいいです。

slooProImg_20131029215700.jpg

でも、子供が産まれた後に読むと、本当に怖い話。
ネタとして笑えるんだけど怖い。娘さんかわいいんだけど、泣くほど怖い。
顔で笑って背中で泣くような感覚。背筋が寒くなる。
slooProImg_20131029215702.jpg

こういう下らない想像をするかしないかで評価が分かれるのかもしれません。
私は想像するタイプで…。

単行本をおもしろいと思いながら読み進める。笑う。娘さんがかわいいと思う。ほのぼのしたいい家族だね~と和やかな気持ちになる。

そして突然、隠し持ったナイフでグサッと刺してくる。
読んだとき、衝撃的でした(私には)。
4コマ漫画で、更にオレンジページ読者に通用するネタで、エッジが効いたものを描けるのがすごい。

絵が汚いか?は見る人によると思うので何ともいえないのですが、私は無駄な線がなくて丸みが綺麗な絵だと思います。
こういう「誰でも描けそうじゃない?」という簡略化された絵とか、選んだ線に力がある絵は、簡単には描けないもので。雑とは違うと思うんだけどな…(過去作読んでないからイマイチ自信が持てないけど)。

表情の描き方や表現が達者だから、4コマで描いて伝わる。作者の力量(情報の圧縮力)は圧倒的だと思います…。
slooProImg_20131031221100.jpg

気をとりなおして。
夫婦の漫画を比較してみましょう。

オットの人・吉田戦車さんの『まんが親・1巻』にも同じ出来事が描かれています。
(なので、両方買うと3倍くらい楽しめます。作風が違うから飽きないし。)

私は伊藤さん、娘さん、戦車さんも好きですが、シッターエヌさんが最高だと思うんですよ…!いい味だしている。
シッターエヌさんの似顔絵は別人のようです。
slooProImg_20131029215656.jpg

伊藤さんはイタリア人のようと形容し、伊藤さんの母は「長髪のハンサムな人」と言っていたのに、戦車さんが描くエヌさんは人の好さそうな雰囲気。
吉田家の両親や伊藤家の両親は似ていますが、伊藤さんの妹も雰囲気が違います。関係性が絵に出ているのかな?
slooProImg_20131029215705.jpg

ハイハイとつかまり立ちの間にある「くいーっ」期。
言葉のセンスが素敵。
slooProImg_20131029215653.jpg
描かれているのは同じ姿勢だけれど、戦車さんの方がぐいぐいと力強い感じ。
うちの娘にも「くいーっ」期は来るかしら…と楽しみにしていましたが、ありませんでした。残念。
slooProImg_20131029215704.jpg

9か月で始めた離乳食を1歳までやめることにした話。
伊藤さんの漫画ではさらりと描かれていますが、戦車さんの漫画では揉めている様子でした。
slooProImg_20131029215654.jpg

離乳食を止めたのは、早めに食べさせることで発生する(大豆や小麦などの)アレルギーが心配だったからのようです(『まんが親・1巻』の方に詳しく描かれています。)。
「離乳食を食べさせずに母乳だけで1歳まで」てのは極論なので賛同できませんが(虫歯リスクとか不足する栄養素はどうするのとか考える必要があるかと)、食べ物アレルギーは私も怖かったなあ…。
slooProImg_20131029215706.jpg

全ての動物をワンワンと呼んでしまう問題。
これ、うちの娘もだな…。
slooProImg_20131029215658.jpg
かわうそも「ワウワウ」なのは素敵ですね。
小っちゃいことだけど、2人が描いている擬音が「ワンワン」と「わうわう」で違うんだなあ。
slooProImg_20131029215708.jpg

否定語「あー」=「いや」を覚えました。
発音がいいんですね…。2人とも表現は違うけど発音がいいというのは同じ…。
slooProImg_20131029215659.jpg

1歳6か月くらいの時期?うちの娘もそろそろなのかな…(行動では拒否を示しますが言葉はまだなので)。
slooProImg_20131029215709.jpg

独身の人も育児をしている最中の人も、育児を終えて一段落している人も楽しめる作品だと思いますが、独身orバツイチの頃の伊藤理佐さんが好きな方にとっては普通すぎて面白くないと感じるかもしれません。

私は面白くて、一番熱心に追っている育児漫画かも知れません。
病院や美容院で必ずオレンジページ(に掲載された『おかあさんの扉』)を読んじゃいますから…。

(2巻買いました)
『おかあさんの扉2巻~二歳児の逆襲』(伊藤理佐)感想~妖精が人間になる過程~

(3巻も買いました)
『おかあさんの扉3巻~ 三歳児デヴュー!!』(伊藤理佐)感想~忙しい!三歳児との毎日~

おすすめ記事

1

最近、この本を読みました。 江戸しぐさという偽史を検証した本です。大変おもしろかった。 ※「江戸しぐさ」についてはこの辺の記事を参照ください。 ●“偽物の歴史”を教育に用いるのは、倫理の根幹を破壊する ...

2

さて突然ですが、ここでクイズです。 ご夫婦で一緒に考えてもらえると嬉しいです。

3

おはようございます。末尾です。 今日はゆむいさんがサイト「ママの求人」で連載中の『ふよぬけ』の紹介と感想です。

4

おはようございます。末尾です。 昨日予告した通りですが、今回の特集は「新波【ニューウェーブ】」と題して、育児漫画作家さんの新たな活動について紹介していきます。 第一回の今日は、ハラユキ(旧PN:カワハ ...

5

自分が義理の父を亡くした時に参考にした情報や本のまとめです。 人の死に際して、やることは大きく3つあると思います。 1)葬式の準備(日程、開催規模、通夜後の清めの席での参列者、通夜や葬儀の供物、葬儀後 ...

-2011年~2013年発売
-, ,

Copyright© 育児漫画目録 , 2024 All Rights Reserved Powered by AFFINGER4.